この記事では、「介護保険」について解説します。
そもそも介護保険ってなに?
介護保険について調べたけど、どの記事をみても「似たような記事ばかり」だし、聞いたことがない「難しい言葉ばかり」で、なんだかよくわからない。
そのように思われた方は必見。この記事を読んでいただくだけで、
・介護保険とは何か
・介護保険のしくみ
・介護保険の使い方
がざっくりと理解でき、必要であれば今すぐ活用できます。
この内容は、介護業界に13年以上携わる私が、厚生労働省のホームページで公開されている資料をもとに、わかりやすく解説します。
「介護保険制度について」厚生労働省HPより
結論
・病院に受診するときは、「健康保険証」を使う。
・介護サービスを利用するときは、「介護保険証」を使う。
このようにイメージするとわかりやすいです。
逆にこれ以上わかりやすくは説明できません!
医療保険と比較する
介護保険とは、介護が必要となったときに、1割~3割の自己負担で、「必要な介護サービスが利用できる」公的な保険制度のことです。
この制度のことを、介護保険制度(以下:介護保険)といいます。
例えばあなたは、病気やケガをしたら病院に行きますよね。
そうすると、その受診した病院ごとに、健康保険証を使って、診察料や治療費など費用全体の、1割~3割の自己負担分を支払います。
このしくみは、医療保険制度(以下:医療保険)という保険制度を利用していることになります。
同じように、もし介護が必要となったら、必要な手続きと手順を踏むことで、利用した介護サービス事業所ごとに、サービス利用料として、1割~3割の自己負担分を支払うことになります。
ここで重要な点が2つあります。
それは、
・必要な手続きと手順がある。
・事業所ごとに契約をする。
ということです。
介護保険は、医療保険と比較するとわかりやすいので続けます。
必要な手続きと手順とは?
要介護認定の申請をする
医療保険では、年齢によって条件や名称は違いますが、国民のほぼ全員が健康保険証を持っています。
介護保険はそうではありません。
介護保険も「保険」ですので、保険を運用する「保険者」がいて、その保険に加入する「加入者」がいます。
介護保険の保険者は、おもにお住まいの市区町村(以下:保険者)で、加入対象者は、40歳以上の全ての国民です。
ですので、40歳以上の方は、健康保険料と介護保険料の両方を、保険者に納めることになります。
そうすることで、介護保険の加入者に介護が必要となったら、介護サービスを受けられることになるわけですが、実は、これだけではまだ介護サービスは受けられません。
ではどうすれば良いのでしょうか。
介護サービスを「受けたい」「利用したい」と思ったら、介護が必要になったことを保険者に知らせ、介護保険の基準に当てはまるかどうかを調べ、「あなたには介護が必要です」と認定してもらう必要があります。
この手続きのことを、要介護認定の申請といいます。
要介護認定の申請をすると、主治医の意見書が必要だったり、そのあと自宅にやってくる認定調査員からの質問に答えたり、認定を受けるための手順があり、認定されるまでは標準で1ヶ月ほどかかります。
その手順の中で、利用を希望する本人の自立した日常生活に、どれほど支障があり、どれほど介護が必要であるかが調査され、判断されます。
介護保険は、医療保険のように、病気やケガをしたらすぐに病院に受診ができるというようには、いかないわけです。
ここまで聞くと、なんだか手続きが「大変そう」とか「面倒だな」とか思うかもしれません。
ですがご安心ください。
そのために、ケアマネージャーさんがいます。
ケアマネージャーさんにお任せする
要介護認定の申請は、おもに保険者の窓口か、もしくはその保険者が管轄する地域内を、さらに細かく分けた地域ごとに、地域包括支援センターという「介護の総合案内所」のようなところがあるので、どちらかで行います。
そのどちらかの窓口で申請を行うと、担当してくれた方がそのまま申請代行をしてくれたり、もしくはそのタイミングでケアマネージャーさんを紹介してくれたりします。
あとはその担当者の方か、もしくはケアマネージャーさんに手続きをお任せすることができます。
申請から1ヶ月ほどで、認定結果と保険証が保険者から自宅に郵送されます。
この手元に届く保険証のことを、介護保険被保険者証(以下:介護保険証)といいます。
介護保険証には何かしらの認定区分が記されています。
その認定区分の種類は、以下の通りです。
要支援1(※事業対象者)
要支援2
要介護1
要介護2
要介護3
要介護4
要介護5
(※この記事の中で事業対象者について解説をすると、さらにややこしくなるので、この記事では要支援1相当としてください。)
認定された区分によって、利用できる介護サービスの範囲や、1割~3割の自己負担で利用できる利用限度額が決まっています。
それは、要支援1→要介護5に数字が上がるにつれて、利用範囲は広がり、限度額は増えていきます。
また、健康保険証と違い、介護保険証には有効期間があります。
初めて申請した場合は、通常は6ヶ月間(半年)です。
更新すると、最長で48ヶ月(4年)まで有効期間は延びます。
認定はされたものの、その後に介護サービスを使わずそのままにしていると、有効期間が過ぎた時点で認定は切れてしまいます。
ですが、基本的には介護サービスを使うために申請をするので、認定後は何かしらの介護サービスを利用するはずです。
もし何かしらの介護サービスの利用を続けていて、有効期間の終了日が近づいてくると、ケアマネージャーさんが更新の手続きをしてくれます。
また、介護保険証のほかに、負担割合証という証書が届きます。
この負担割合証には、名前の通り負担割合が記されており、この証書にも有効期間があります。
この期間は毎年8月~翌年7月末までの1年間です。
この証書は、介護認定が続いているかぎり、このサイクルで更新されます。
なぜ介護保険に有効期間があるのかというと、
例えば病気やケガをしても、そのあとの通院や治療によって完治したり、悪化したり、その症状が変わるように、介護の必要性も、その時の状況に応じて変わります。
また、介護保険は自立支援が目的なので、介護サービスを通じて、本人の日常生活の改善を目指すものです。
ですので介護保険では、この変化に対応するために有効期間があり、必ず有効期間の終了前に、介護サービスが適切だったのかどうかを評価します。
つまり、認定区分は一回認定されたら終わりではなく、一定期間ごとに見直され、区分が変動します。
事業所ごとに契約をする
サービス担当者会議に参加する
介護サービスを利用するためには、介護保険証が必要だとお伝えしました。
では、介護保険証を持っていれば、本人が病院を自由に選ぶように、どのような介護サービスでも自由に利用できるのかというと、そうではありません。
介護サービスを利用するには、介護サービス計画書という書類が必要です。
この介護サービス計画書のことを、通称ケアプランと呼びます。(以下:ケアプラン)
このケアプランには、本人の自立支援のために、どのような介護サービスが必要か、それはどのくらいの利用頻度で、どの期間利用するのか、という内容が記されます。
このケアプランを作成するにあたって、担当のケアマネージャーさんが、本人や家族と話し合い、希望などを聞き取って、まずはケアプラン(案)を立てます。
その中で、必要な介護サービスと、その介護サービスを提供している介護サービス事業所を選びます。
それは、ヘルパーだったり、デイサービスだったり、福祉用具だったり、入所施設だったりします。
ケアプラン(案)が完成すると、このケアプラン(案)で良いかどうかを確認するために、ケアマネージャーさんが、本人と家族、希望の介護サービス事業所と連絡を取り合い、話し合いの場を設けます。
この話し合いの場のことを、サービス担当者会議といいます。
通常は、本人の自宅に集まり、そこで本人と家族、ケアマネージャーさんと希望の介護サービス事業所がケアプラン(案)を確認しながら情報を共有します。
そのケアプラン(案)で問題なければ、本人がそのケアプラン(案)に同意したことを証明する署名を行います。
この署名によってケアプラン(案)は、正式なケアプランとして確定します。
ここまでの手順を踏んで、ようやく介護サービス事業所の出番です。
介護サービス事業所が介護サービスを提供するには、利用者本人との契約が必要になります。
つまり、利用者本人は、ケアプランで必要とされた介護サービス事業所ごとに契約の手続きをすることになります。
それは、ケアプランを立てたケアマネージャーさんが所属する事業所とも契約をします。
ケアマネージャーさんの役目が、利用者本人の自立支援のためにケアプランを立てることで、自立支援を図ることだからです。
そして、ケアプランの確定と、介護サービス事業所ごとに契約を行うことで、はじめて介護サービスを利用できるようになります。
ケアプランは定期的に見直される
介護サービスの提供が開始されると、ケアプランで定めらた提供期間ごとに、適切なサービスがどうかを評価します。
その評価をどのように行うのかというと、はじめてケアプラン(案)を立てた時と同じように、利用者本人の自宅で、ケアマネージャーさんを含む各介護サービス事業所が集まり、サービス担当者会議を開催して行います。
この会議では、ケアプランの通り実行できたのか、それは適切なサービスだったのか、その結果、本人の日常生活に改善が図れたのか、維持できたのか、悪化したのかどうか、細かく評価します。
これが、ケアプランの見直しです。
この会議を通じて、サービスの継続が必要と判断されると、サービス内容を修正し、新たなケアプラン(案)を立てます。本人はその内容に同意の署名を行うことで、更新されます。
この見直しを定期的に繰り返すことで、利用者本人の今の状況にあった適切な介護サービスが利用できることになります。
まとめ(利用までの7つのステップ)
介護サービスを利用するには、「介護保険証」が必要であるとお伝えしました。
そして、介護サービスを「受けたい」「利用したい」と思ったら、
1.要介護認定の申請する。
2.認定調査を受ける。
3.介護保険被保険者証を受け取る。
4.負担割合証を受け取る。
5.ケアプラン(案)を立てる(立ててもらう)。
6.サービス担当者会議に参加する。
7.介護サービス事業所ごとに契約する。
ここまでの流れが理解できれば、あとは介護が必要となったときに、この手順の通り手続きを進めることで、介護サービスを利用することができます。
いかがでしたでしょうか。
この記事が参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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