この記事は、「介護サービスってどんなサービスがあるの?」「使いたい時にいつでも利用できるの?」と思われている方に向けた内容です。
これまで、訪問介護やショートステイでの管理業務の経験や、デイサービスの窓口業務を行っていた私が、相談者の方々から、特に質問が多かった「介護保険を使うために必要な手続き」と、「主な介護サービスの種類」について、簡単にご紹介します。
あなたは、この記事を読んで頂くだけで「介護保険を使うために必要な手続きの流れ」がざっくりと把握でき、「どのような介護サービスがあるのか」ということがわかります。
ぜひ、もしもの時の【予備知識】としてご活用ください。
介護保険を使う前に知っておきたい手続きの流れ
介護保険を使うには、事前に「要介護認定」を受ける必要があります。
そのためには、
1.お住まいの市区町村窓口へ相談する。
2.要介護認定の申請をする。
3介護保険被保険者証が手元に届くのを待つ。
という流れがあります。
お住まいの市区町村窓口へ相談する
まずは、お住まいの市区町村へ電話で問い合わせるか、直接窓口に行きます。
または、最寄りに地域包括支援センターという施設があるので、連絡先や場所がわかる場合は、そちらに問い合わせます。
そこで、担当者の方へ率直に「なぜ利用したいのか」ということを相談してみてください。
介護サービスを利用するための最初の一歩は、「相談」からスタートします。
要介護認定の申請をする
申請を希望すると、
・認定調査(後日、認定調査員が自宅にやってきます。)
・主治医意見書(かかりつけ医などから、申請に必要な情報を伺います。)
が必要になります。
それは「どのように行うのか」「どのような手順があるのか」ということを、担当者の方が教えてくれます。
この段階で、ケアマネージャーさんを紹介してくれる場合があります。
介護保険被保険者証が手元に届くのを待つ
必要な手続きや書類が揃うと、認定調査の結果や主治医意見書などをもとに、市区町村が要介護度を決定します。
要介護度が決定すると、その認定を証明する「介護保険被保険者証」が発行されます。
そのほかに、申請者の前年の所得に応じた「負担割合証」が発行されます。
後日、認定結果の通知と一緒に手元に届きます。
この手続きは、申請から手元に届くまでに標準で1ヶ月ほどかかります。
介護保険で重要な介護サービス5選
介護が必要な方の要介護度が決定し、手元に「介護保険被保険者証」と「負担割合証」が届くことで、はじめて介護サービスの利用ができるようになります。
介護保険が使える介護サービスはたくさんありますが、その中でも、特に重要な介護サービスを5つご紹介します。
居宅介護支援サービス:ケアプランはプロにお任せ
介護サービスを使うには、要介護認定が必要ですが、そのほかに、介護サービス計画書が必要になります。
通称ケアプランと呼ばれるものです。
このケアプランがないと、介護保険を使った介護サービスは利用できません。
このケアプランは、自分で作成することも可能ですか、多くの場合は、介護支援専門員、通称ケアマネージャーさんが担当します。
担当のケアマネージャーさんが、利用希望者の日常生活でのお困りごとを把握し、各介護サービスを提供する事業者を繋ぎ、適切な介護サービス計画書を立案してくれます。
つまり、ケアマネージャーさんが介護支援におけるプランナーとなって、介護が必要な方を総合的に支えます。
このケアマネージャーさんがいるところが、居宅介護支援事業所です。
福祉用具貸与サービス:福祉用具はレンタルできる
福祉用具とは、杖や歩行器、車椅子など、介護が必要な方を支える用具のことです。
このような用具は、デパートやホームセンター、最近だと、物によっては100円ショップなどでも取り扱うようになりました。
ですが、ここで重要な点は、「その用具が本当に本人に合っているか」ということです。
また、福祉用具の種類は幅広く、楽に食事ができるスプーンやフォークなどの補助具から、移動時に必要な車椅子、リクライニングが可能な電動ベッドまで含まれます。
これだけの物を、全て本人や家族が揃えるのは、なかなか大変です。
実は、簡単に手に入る用具は多数ありますが、この用具選びにも介護の専門性が問われます。
そこで、これらの負担軽減と、適切な用具選びのために、介護保険を使った介護サービスとして、福祉用具のレンタルや購入などの支援が受けられます。
用具が必要ということは、日常生活の中で、「なかなか立ち上がれない」とか、「移動が大変だ」とか、何かしらのお困りごとがあるからだと思います。
そのようなお困りごとを、福祉用具を専門に取り扱う事業者に相談することで、介護が必要な方に合った、適切な福祉用具を提案してくれます。
訪問介護サービス:ヘルパーさんができること
「ヘルパー」という言葉は、世の中に広く知れ渡っている言葉ですが、ヘルパーさんが実際にどのような役割を担っているのかということまでは、詳しく説明できる方は少ないでしょう。
通称ヘルパーさんは、介護保険上では「訪問介護員」と呼ばれ、その名の通り、介護が必要な方のお宅に訪問し、入浴や調理などの支援をします。
具体的には、以下の3つを軸としています。
「訪問介護」は、その行為の内容に応じ、次の3類型に区分される。
① 身体介護 ≫ 利用者の身体に直接接触して行われるサービス等 (例:入浴介助、排せつ介助、食事介助 等)
② 生活援助 ≫ 身体介護以外で、利用者が日常生活を営むことを支援するサービス (例:調理、洗濯、掃除 等)
③ 通院等乗降介助 ≫ 通院等のための乗車又は降車の介助(乗車前・降車後の移動介 助等の一連のサービス行為を含む)
厚生労働省ホームページ (訪問介護・訪問入浴介護 )より抜粋
①の身体介護サービスによって、自宅で安心して入浴ができたり、身体の清潔が維持できたり、安全に食事が取れたりします。
②の生活援助サービスによって、適切な食事が用意できたり、清潔な衣類を準備できたり、きれいなお部屋で過ごすことができます。
③の通院等乗降介助サービスによって、安心して病院受診ができます。
注意点として、訪問介護サービスでは、介護保険が適用となる支援は決まっているため、ヘルパーさんには、できることと、できないことがあります。
この点を踏まえ、実際にサービスが開始される前に、サービス内容について、十分に確認する必要があります。
通所介護サービス:多様なデイサービス
デイサービスとは、介護保険上の施設区分としては「通所介護」とあり、その名の通り、介護が必要な方が、定期的に自宅から通所施設に通い、入浴や、食事、機能訓練などを日帰りで受けられるサービスのことです。
一般的なデイサービスの主な1日の流れとしては、以下の通りです。
1.送迎車でのお迎え
2.バイタルチェック
3.入浴(介助)
4.昼食(食事介助、服薬介助)
5.昼寝
6.機能訓練やレクリエーション
7.送迎車で送り
高齢者の方は、足腰が悪くなると、自宅で引きこもりやすくなってしまいます。
また、独り暮しの方はもちろん、ご家族がお仕事などで、日中は独りというケースも増えています。
そうした中で、デイサービスを活用することで、ご本人の外出の機会や、ご家族の負担軽減につながります。
デイサービスのサービス内容は、この記事でご紹介した流れが基本ですが、最近では、短時間でリハビリに特化していたり、お泊まりができたり、ホテルや旅館のようなおもてなしが受けられたり、サービス内容は多様化してきています。
ぜひ、最寄りのデイサービス事情を、ご自身でお調べになってみてください。
短期入所サービス:ショートステイの役割
ショートステイとは、介護保険上の施設区分としては「短期入所生活介護」とあり、その名の通り、介護が必要な方が短期間入所し、3食の食事や入浴、排泄介助など、1日24時間支援が受けられます。
ショートステイの役割は、介護が必要な方が、一時的に自宅での生活が難しくなった場合や、介護が必要な方のお世話をする、ご家族の負担軽減のために利用できるところです。
利用するタイミングとしては、
・事情により、一時的に家族が本人の生活のお世話ができなくなった時。
・病院を退院後、すぐに自宅での生活が不安な時。
・特別養護老人ホームなどの入居までの間。
などが考えられます。
この介護サービスは、あくまで受け入れ施設の空き状況によるので、必ずしも希望の日程で利用できるわけではありません。
ですので、やむを得ない急な事情がない限りは、あらかじめ担当のケアマネージャーさんに相談することをお勧めします。
利用希望がある場合には、数週間から数ヶ月の余裕を持って、受け入れ施設との日程調整などを行うのが望ましいです。
まとめ
ここまで、介護保険を使う前に知っておきたい手続きの流れと、5つの重要な介護サービスを紹介してきました。
はじめに「介護保険を使うには、事前に要介護認定を受ける必要がある」とお伝えしました。
そして重要な介護サービスとして、以下の5つの介護サービスをご紹介しました。
・居宅介護支援サービス
・福祉用具貸与サービス
・訪問介護サービス
・通所介護サービス
・短期入所サービス
いかがでしたでしょうか。
事前にこの記事の内容を知っているだけで、いざ当事者となった時に、担当者や専門職の方に相談しやすくなります。
介護保険のしくみや流れについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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