この記事では、親の介護が必要になった時に慌てないために、事前に取っておきたい行動と、その行動を取るために大事な3つのポイントについて解説します。
他人事では済まない事実
超高齢社会の日本において、高齢者人口の割合は、年々増え続けています。
その全ての方々がお元気であれば望ましいですが、その増加に比例して、自立した日常生活が難しくなり、介護サービスを受けられている方々も増えているのが現状です。
2000年に介護保険制度が施行されてから、介護サービスを利用される方が、当初の制度設計をはるかに上回るペースで増え続け、今では財源の圧迫と人員不足が深刻となっています。
ですが、このような現状は、TVやネットニュースなどでなんとなく耳にしてはいるものの、当事者にならなければ、実感できず、どこか他人事のように感じてしまいます。
私自身がそうでした。
幸いにも、私の両親はまだ健在で、いつでもすぐに会える距離に住んでいますが、介護業界に13年以上携わっていても、最近まで一番身近な両親と『介護』について、直接話す機会はありませんでした。
そのような私が、最近実家に帰省した際に、両親とのやり取りの中で実感し、「これは今すぐ誰にでもできるな」と思った、取るべき行動についてお伝えします。
当事者となる前に今すぐ行動しよう
私が両親とのやり取りの中で実感し、「これは今すぐ誰にでもできるな」と思った取るべき行動は、
「『介護』というテーマで、親と一緒に考える」
ということです。
この行動は、あなたの親御さんがご健在であれば、今すぐできます。
(いらっしゃらなければ、あなたにとって一番身近な方や、大事な方へ、今すぐできます。)
同居されていれば、直接顔を合わせてお話ができますし、普段は離れて暮らしていても、今の時代は携帯電話やスマホなどで簡単に会話ができます。
ただし、話題の切り出し方や進め方はとても重要です。
親は子の世話にはなりたくない
とはいうものの、せっかく話題にしても、親がまだ健在で、それも若ければ若いほど、軽くあしらわれてしまいます。
親からすれば、我が子は何歳になっても子供なので、
・心配はいらない。
・あなた(子)に迷惑はかけないから大丈夫。
・その時になったら考えればいい。
といった具合です。
ですが、普段から意識せずに生活をしていて、いざ実際に介護が必要になると、本人だけでなく、その家族にも大きな負担や影響を受けてしまいます。
介護が必要となった人のきっかけや特徴を知る
それは、当事者にならなければわかりませんが、一般的に、ある日突然介護が必要となった人のきっかけや特徴には、以下のようなものが考えられます。
・事故や病気の悪化
・認知症の発症
・身体機能の急激な低下
・近親者の死別などの事情変化
それらが原因で、介護が必要となった人の心境は、
・不安や恐怖
・焦りやイライラ
・落ち込みや悲しみ
・負担やストレス
などが考えられます。
これらの心境は、ある日突然介護が必要となった本人にかぎらず、その家族にも見られることがあります。
ですので、生きてきた時代の違う親と話す上で、「我が子は心配してくれているんだな」と思ってもらえるように、話を進める必要があります。
雑談で終わらせないために
家族にとって一番大事なテーマを、雑談で終わらないためには、「なぜ」このテーマで一緒に考えたいのか、という「目的」を、親に伝える必要があります。
実は、この部分が一番難しいところです。
切り出し方としては、
・TVなどで『介護』についてのニュースが取り上げられ時に、さり気なく切り出す。
・「実は大事な話があるんだ」と改まる。
・身内や知り合いの『介護』体験の話題をしてから、「我が家はどうする?」と切り替える。
というように、『介護』というテーマで「一緒に考えたいんだ」「話し合いたいんだ」という思いを伝えます。
ここで重要な点は、「どう伝えたか」ではなく、「どのように伝わったか」ということです。
親へアプローチを行うことで、親に興味や関心を持ってもらえたら、こっちのものです。
ですが、親には親の価値観があるので、こちらが話をリードしないと、話題が流れてしまうので、その後の進め方についても、事前に準備や話すイメージをしておく必要があります。
話の主導権をにぎる3つのポイント
話の進め方と手順としては次の通りです。
1.親の現状を知る。(親の体調、心身の状態、既往歴、通院の有無など)
親が元気なうちは全く問題ありませんが、この先何があるかわかりません。
ですので、「事前に教えてほしい」「もしもの時のために共有してほしい」ということを伝えましょう。
2.親と一緒に将来について考える。
もし、介護が必要となったら、親自身として「どこでどのような生活をしたいのか」という希望を聞いてみましょう。
このような機会がないと、日常生活の中では考えることは少ないと思いますので、改めて考えてもらうことが重要です。
そうすると、
例えば、「最期まで家で住みたい」だとか「歩けなくなったら施設を利用したい」だとか、何かしらの思いが出てくるはずです。
ただし、これは実際に利用できる条件に当てはまるかどうかではなく、あくまで親の希望を引き出します。
3.親と一緒に介護が必要とならない取り組みを考える。
でも、そうならないために「親自身ができることは何か」「我が子はどこまで関われるか」ということを考えてみましょう。
親自身は、自身なりに「散歩してる」とか「食事に気をつけている」とか、すでに何かしら健康を意識した生活をしているはずです。
その気持ちがどれだけあって、実際にどれだけ実行しているのか、ということを共有します。
ここまでたどり着けば、この瞬間は安心できます。
ですが、一見何気ない日常生活を送っているようでも、半年、一年と経てば、環境は変わっていきます。
ですので、定期的に話し合いを場を持ち、この1〜3までのポイントをくり返すことで、リアルタイムな情報を得ることができます。
まとめ
親の介護が必要になった時に慌てないためには、当事者となる前に誰にでも今すぐできる行動があります。
それは、「『介護』というテーマで、親と一緒に考える」ということです。
とはいっても、親からすれば、我が子は何歳になっても子供なので、親としては、子供の世話にはなりたくないものです。
ですが、決して他人事ではないことを実感してしてもらうために、介護が必要となった人のきっかけや特徴を知ってもらう必要があります。
ですので、話題の切り出し方と、「なぜ」このテーマで一緒に考えたいのか、という「目的」を伝えることが重要です。
話題が流れてしまわないために、話の主導権をにぎる3つのポイントがあります。
それは、以下の3つです。
1.親の現状を知る。(親の体調、心身の状態、既往歴、通院の有無など)
2.親と一緒に将来について考える。
3.親と一緒に介護が必要とならない取り組みを考える。
この行動は、たった一回で答えを見出すものではなく、定期的に話し合いを場を持つことで、共有した情報を更新していきます。
いかがでしたでしょうか。
実はこの記事を作成した後、実家に帰省し、実践してみました。
なんとなく息子の思いは、両親や家族に伝わったとは思いますが、『介護』というテーマは、壮大なテーマですので、今回は、「全体の雰囲気」だけに留めました。
これからたびたび帰省し、くり返し「『介護』について一緒に考える機会」を作っていきます。
私は、この行動こそが、「介護予防」の第一歩と考えます。
「介護予防」のための活動は、対象となった本人だけでなく、家族の存在がとても大きいと思います。
ですので、現役世代の私たち一人一人が、一番身近な親へ促すことで、介護業界が抱える問題解決の糸口となると思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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