この記事は、一般的なサービス業に携わる方や、いま現在介護施設に勤めていて「仕事を辞めたい」とか、「介護は大変」と思われている方に向けた内容です。
介護業界は、超高齢社会の日本において、深刻な「人手不足」や「働き手不足」であるだけではなく、厳しい労働条件をイメージさせる「3K」と言われる業界の一つです。
そのようなイメージを持たれているこの介護業が、なぜ【究極のサービス業】であると言えるのか、介護業界に13年以上携わる私が「独自の視点」で解説します。
そもそも「介護3K」とは?
介護業界における「介護3K」とは、介護職員が直面する「きつい」「危険」「汚い」という3つの要素を表す言葉です。
この要素を一言でまとめると以下の通りです。
・「きつい」は、利用者の身体介助や移動、トイレ介助、食事介助など、日常生活の直接的なサポートが求められるため、介護職員は心身ともに負担が大きいということです。
・「危険」は、利用者の認知機能の低下や転倒しやすさから、介助中に介護職員自身がケガをする危険性があるということです。
・「汚い」は、利用者の排泄物や体液の処理を介護職員が直接扱うことで、感染症のリスクが高まるということです。
たった一言にまとめただけでも、介護職の大変さが伝わるのではないかと思いますし、実際に従事されている方からすれば、「こんなもんじゃない!」とお叱りを受けるかもしれません。
その一方で、こうしたマイナスなイメージを改善すべく、働き方改革や処遇改善などの国の施策も充実してきています。
また最近では、「感謝」「心」「感動」といった介護のやりがいを表す「介護の新3K」と呼ばれるポジティブなイメージが提唱される動きがあります。
そのことを踏まえて深掘りします。
「介護3K」と言われる介護業が【究極のサービス業】であると言える理由
なぜ介護業が【究極のサービス業】であると言えるのかというと、それは、利用者の方がもともと「介護」に興味や関心があるかないかに関係なく、必要な介護サービスが提供されるからです。
どういうことかというと、
例えば、一般的な商売やサービス業であれば、販売する側が商品や製品を用意し、興味を持ってもらった人に販売したり提供したりします。
ですので販売する側は、自社で揃えた商品や製品を、どのような方法で「お客様に興味や関心を持ってもらうか」ということに焦点を当てて戦略を立て、新聞広告やチラシ、TVCMやSNS広告などを出します。
そして、その広告を見て興味や関心を持ってもらった人が、その広告でアピールされた商品や製品に期待をして、「お客様」となります。
それに対し介護サービスは、そもそも健常者であれば必要なサービスではありません。
また、介護職や、家族や身内で介護されている方でもいないかぎりは、日常生活の中で「介護」についてあまり深く考える機会は少ないでしょう。
ですので、何かしらの理由によって介護が必要となった時に、はじめて当事者として「介護」について「認識」します。
当事者となった直後は、人によって差はありますが、本人やその家族は、現状を受け入れるまで、一定の時間がかかります。
その段階から介護職が密接に関わっていくので、サービスの質が問われることになります。
「介護」はある日突然やってくる
ここで質問です。
この記事を読まれているあなたは、日常生活の中で、ご自身の「介護の必要性」について、どれほど意識されているでしょうか。
少なくとも、この記事を書いている今年で40歳となる私は、20代の頃よりは健康に気を使うようにはなりましたが、正直なところ、いま現在は特に持病があるわけでもなく、身体に支障もないので、将来の自分自身の「介護の必要性」については、全く想像がつきません。
そのような私でも、誕生日を迎えれば介護保険2号被保険者となり、場合によっては、介護サービスが受けられるようになるわけです。
介護保険について知りたい方は、こちらの記事もお読みください。
では、いま現在介護サービスを利用されている方の中で、どれほどの方が、介護が必要となる前に備えていたのでしょうか。
おそらくきっと多くの方が、病気やケガなどによって、ある日突然「介護」が必要になったのではないでしょうか。
その時の本人の「気持ち」はどのようなものでしょうか。
介護サービスを利用するということは、そのサービスを受けようとする本人の日常生活に、何かしらの支障があり、今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなったことがきっかけとなります。
ですので、本当は誰かの世話を受けることなく、今までのように自分でやりたいのに、「やむを得ず」とか「仕方なく」といった気持ちで、他者からの支援をスタートされる方が多いのではないでしょうか。
または、家族や周りから見れば、明らかに介護が必要な状態であるにも関わらず、その対象である本人が、自身の「介護の必要性」を受け入れることができず、「誰からも世話は受けない!」と、かたくなに「拒否」をするところからスタートするケースも多いと思います。
介護サービスは、その段階から、その方にとって必要な支援がスタートするので、一般的なサービス業とは異なる部分です。
ですが、利用するきっかけやスタートこそ違うものの、「ニーズに応える」という側面では、一般的なサービス業と同じです。
結局のところ、最初は「やむを得ず」とか「仕方なく」とか「拒否」から始まったとしても、介護職や支援者達が、どれほど利用者に寄り添い、どれほど利用者本意の支援ができるかによって、はじめて「介護」に興味や関心を持ってもらうだけでなく、利用者の方の「不安→安心」に、「不満→満足」に変えることができます。
まとめ
この記事では、介護業が、厳しい労働条件をイメージさせる「3K」と言われる業界の一つである一方で、「介護の新3K」と呼ばれるポジティブなイメージが提唱される動きがあるとお伝えしました。
そのような介護業は、一般的な商売やサービス業とは異なり、 利用者がもともと「介護」に興味や関心があるかないかに関係なく、必要な介護サービスが提供されます。
一般的なサービス業は、一つの商品や製品によって、お客様のニーズに応えることが出来ます。
介護サービスには、一つの正解はなく、ニーズは都度変化します。
利用者は十人十色、百人百通りです。
その個別のニーズに、どれだけ応えられるかを追求することが、介護サービスの魅力であり、そのニーズに応えた分だけ、またはそれ以上に、利用者の方から「ありがとう」と感謝の気持ちが返ってきます。
そのような意味で私は、介護業は【究極のサービス業】であるとお伝えしました。
この魅力に気づくことができれば、何気ない日常の介護ケアにも、意味合いを持つことができ、やりがいを見出せるのではないかと思います。
このテーマについては、この記事だけでは伝えきれない部分がまだまだたくさんありますので、今後も取り上げて行きます。
私の「独自の視点」に少しでも興味や関心を持って頂いた方は、この記事で取り上げた要素や考え方を込めた電子書籍を出版しておりますので、もし良ければお読みください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
コメント